借金の整理を確かめる

債務整理が会社にバレるのは、差押命令が届いたとき

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2026/8/31公開

借金の整理を考えるとき、家族の次に気にされるのが勤務先です。

答えを先に書きます。裁判所からの書類が勤務先に届くのは、給与を差し押さえられたときです。

差押命令の送達先に会社が入っている

給与の差押えは、裁判所が差押命令を出すところから始まります。その送達先を、民事執行法145条3項が決めています。

差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。

第三債務者とは、給与を払う相手のことです。つまり勤務先です。本人と会社の両方に、裁判所から書類が届きます。

送達は形式の話ではありません。同じ条の5項がこう続けます。

差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。

会社に届いて初めて効力が出る作りなので、会社に伏せたまま進むことはありません。会社は給与の一部を本人に払わず、差押えた人へ渡すことになります。

差押えは債務整理の結果ではない

ここで順序を取り違えないでください。差押命令が出るのは、支払いが止まったまま置かれて、債権者が裁判を起こして判決などを得たあとです。

債務整理を始めると、その前の段階で請求が止まります。弁護士や認定司法書士(法務大臣の認定を受けた、140万円までを扱える司法書士)が債権者へ書面を出すと、貸金業者は本人への取立てができなくなります。この書面が受任通知、つまり依頼を受けた側が出す通知です。仕組みは受任通知が届くと取立てが止まるにまとめました。

だから「債務整理をしたから会社に知られる」ではありません。向きはむしろ逆で、何もしないまま置いた期間が長いほど差押えに近づきます。

差し押さえられても4分の3は残る

差押えが起きた場合も、給与の全部が対象になるわけではありません。民事執行法152条が4分の3を差押禁止にしていて、政令が上限も置いています。金額の読み方は給料の差し押さえは4分の3が禁止にあります。

会社の側から見ると、この計算をして毎月の給与から分ける事務が発生します。勤務先に手間がかかるという意味では、ここがいちばん実害のある場面です。

会社から借りていると、会社が債権者になる

もう1つ、経路が生まれる場合があります。社内融資や共済からの借入があるときです。

このとき勤務先は債権者なので、裁判所からの通知が行く相手に入ります。自己破産で通知される相手は破産法32条3項に並んでいて、そこに「知れている破産債権者」が挙がっています。自己破産が家族にバレるのは通知ではなく保証人からで同じ条を家族の側から見ました。

会社への借入だけを外して申し立てることはできません。特定の債権者だけを先に払う扱いは、あとで問題になります。

職業の制限は破産法ではなく別の法令が決める

自己破産には、手続きの間だけ就けなくなる職業があります。このとき効いているのは破産法そのものではありません。255条2項が、こう書いています。

前項の規定による復権の効果は、人の資格に関する法令の定めるところによる。

資格の可否を決めているのは、それぞれの業法のほうだという書き方です。警備業法を例にすると、3条1号が「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を挙げ、14条1項がその人は警備員になれないとしています。続く2項は、会社の側に義務を置いています。

警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。

従事させてはならないと書かれている相手は事業者です。その職業に就いている場合、自分から伝えないと会社が義務を果たせません。黙っていて知られない話ではなくなります。

制限は免責が確定すれば解けます。どの時点で解けるかは免責の申立ては別にしなくてよいにあります。

任意整理と個人再生には、この制限が無い

いま見た制限は、破産手続の開始に結びついています。任意整理は裁判所を通さない話し合いなので、開始の決定がありません。個人再生も再生手続であって破産手続ではないので、同じ理由で外れます。

3つの違いは債務整理の種類は、決める人で分かれるにまとめました。

勤務先が関わる場面何が起きるか

  1. 給与を差し押さえられた

    差押命令が勤務先にも送達される

    民事執行法145条3項

  2. 社内融資や共済から借りている

    勤務先が債権者として通知の対象に入る

    破産法32条3項

  3. 資格の制限が置かれた職業に就いている

    自分から伝えないと会社が義務を果たせない

    警備業法14条2項

勤務先が関わるのは、この場面に当たったときだけ(民事執行法145条3項・破産法32条3項・警備業法14条)

官報に載ることと、会社が見ることは別

自己破産と個人再生は官報に公告されます。ただし官報は日刊で、掲載されるのは氏名と住所と決定の内容です。勤務先が日常的に読む書類ではありません。何がどこまで載るかは債務整理で官報に載るのはどの手続きかにあります。いつまで見られる状態が続くかは官報の自己破産は90日で閲覧できなくなるに分けました。

読んでいる相手として実際に挙がるのは、貸金業者や信用情報を扱う事業者です。勤務先がそこに含まれるかどうかは、その会社の業種によります。

まとめ

  • 会社に書類が届くのは差押命令のときだけ。民事執行法145条3項が第三債務者を送達先に挙げている
  • 差押えの効力は会社に届いた時に生じる(同条5項)ので、伏せたまま進む形になっていない
  • 差押えは債務整理の結果ではなく、放置した先で起きる
  • 会社から借りていると、勤務先が債権者として通知の対象に入る
  • 職業の制限を決めているのは破産法ではなく個々の業法(255条2項)
  • 任意整理と個人再生には、破産手続の開始が無いので制限が働かない

相談するときに確かめること

勤務先の心配で止まっている場合、先に確かめることがあります。社内融資や共済からの借入があるかどうかと、資格の制限が置かれている職業かどうかです。どちらも当てはまらなければ、会社が関わる場面は差押えだけになります。

記事末尾の表に挙げたアース司法書士事務所は、簡裁訴訟代理等関係業務の認定、つまり140万円までを扱える資格を受けています。同じ事務所は任意整理の基本報酬を「1社あたり 11,000円~」と示し、完済している分は「1社あたり 0円」としています。下限だけの数字なので、当サイトでは金額として掲載していません(2026年8月31日確認)。140万円を超える相手が1社でもあれば、その相手との交渉は弁護士の担当になります。シン・イストワール法律事務所は、公式サイトに代表弁護士の弁護士登録番号(60436)を載せている弁護士事務所で、金額の上限はありません。線引きの根拠は司法書士と弁護士の違いは140万円で分かれるにあります。

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
4
出典
3(法令 3)
公開

引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。

紹介した事務所の資格と料金

事務所運営会社誰が手続きをするか料金
アース司法書士事務所アース司法書士事務所(代表 近藤陽介・大阪市北区)認定司法書士(認定を確認)
簡裁訴訟代理等関係業務の認定 第612074号(大阪司法書士会 登録番号3331)
記載なし(理由は下)
シン・イストワール法律事務所弁護士法人イストワール法律事務所(代表弁護士 田島聡泰)弁護士(登録を確認)
弁護士登録番号 60436(代表弁護士 田島聡泰)
記載なし(理由は下)
アース司法書士事務所
報酬ページが任意整理の基本報酬を「1社あたり 11,000円~」(税込)と示し、完済分は「1社あたり 0円」、減額報酬とオプション報酬は「当事務所では頂戴いたしません。」と書いている(2026-08-31 に公式サイトの報酬ページで確認)。法務大臣の認定を受けているので、1社あたり140万円までなら代理人として交渉できる 任意整理の基本報酬が「1社あたり11,000円〜(税込)」と下限でしか示されていないため金額を掲載していません。取引が続いている債権者だけが対象で、完済している分は0円と書かれています
シン・イストワール法律事務所
公式サイトに「シン・イストワール法律事務所」「代表者:代表弁護士 田島聡泰(登録番号60436)」の記載があります。A8 のプログラム名は「弁護士法人イストワール法律事務所」ですが、公式サイトの表示は「シン・イストワール法律事務所」なので、記事ではサイト側の名称を使っています。闇金・給与ファクタリングの案件も扱うと明記されていて、着手金が別建てになっています(闇金1件53,900円など)。 費用は税込のテキストで一覧になっています。任意整理の着手金は1社につき58,300円、減額報酬は減額分の11%。自己破産の申立ては同時廃止事件の着手金が407,000円、少額管財事件が506,000円で、いずれも債権者1社あたり11,000円が追加され、実費(印紙・郵券代等)が別途かかります。個人民事再生は住宅ローンなしで506,000円、住宅資金特別条項を利用する場合が605,000円。過払い金返還請求は残債務がない場合に着手金無料です。初回相談料は無料と書かれています(2026年9月1日確認)。

料金は各事務所の公式サイトで、税込価格が文章で明示されているものだけを掲載しています。 「誰が手続きをするか」は、弁護士の登録または簡裁訴訟代理等関係業務の認定を 各社の公式サイトで探した結果です。司法書士が任意整理を代理できるのは 1件140万円までで(司法書士法3条1項7号・裁判所法33条1項1号)、しかも認定を 受けた司法書士に限られます。公式サイトで見つからないことは、認定が無いことを意味しません。

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